Aその1:何歳からでもOK!

モンテッソーリ教育は手法や技術、道具(教具)ももちろんありますが、そこに頼る部分はモンテッソーリ教育を全体像で見た時にはごく一部です。基本的には教育哲学であり、ものの捉え方であり、「大人の態度」によるところが大きいためでもあります。そのため、次のように言えるのも事実です。

Aその2:受精の瞬間から!または0歳から!

大人の態度や考え方、在り方が子どもの発達に大きく影響を与えるとするならば、命の誕生する「受精の瞬間」に「受け入れられている」「自分の命は喜びに値する」と思えるところから始まっていると言えます。モンテッソーリ教育0-3レベルの勉強は、受精の前の段階、解剖学、生理学から始まります。
とはいえ、モンテッソーリ教育に触れるのは早ければ早いに越したことはありません。大人にとっても子どもにとっても。
大人にとっては、この教育(哲学)に出会うことで、「自分が育てられた方法」以外の子どもの見方が発見でき、子どもの本来の発達の道筋に従って援助できる知識を得られます。
子どもにとっては、モンテッソーリ教育でいう「吸収精神」と「敏感期」に助けられ、早ければ早いほどその恩恵にあやかり精神を解放させ自分自身を自分で発達させていく(内なる自己教育力に従って)ことができます。

Ikumi Otani

私がモンテッソーリ教育に出会ったのは、高校で英語教師として勤めている時でした。高校生にモンテッソーリ教育?遅すぎるでしょうか?

私は目の前の高校生を相手に、この哲学と手法を用い、子どもたちが変わったのを目の当たりにしました!目がキラキラ輝き、自ら学びたい、自分の人生を自分で生きたいと思う子どもたちが現れました。

本当にそうでしょうか。子どもたちが変わったともいえますが、同時に私という大人の視点が変わり、態度が変わり、子どもたちの元々もつ積極的な姿を見ることができるようになったのです。

子どもたちはいつだって用意ができているのだと確信した瞬間でもあり、だからこそ、早い段階からこの教育法を子どもたちのために活用したいと、カーサ・デ・バンビーニを開園しました。

さらに「もっと早いほうがいい」と思って0歳からのモンテッソーリ教育「RIVERWALKこどもの家」「モンテッソーリ・バースセンター」を立ち上げました。そうして今、この続きの環境を作るべく、小学部にのりだしているところです。

モンテッソーリ教育 年齢ごとの比較

【0-3レベル】 Help me to BE myself

ミルクを飲むのも、寝返りをするのも、泣くのも、全て意思の力の賜物です(もちろん、生きていくための「原始反射」から始まります)。歩き始められるように、大人が時期や訓練を用意して「ほら、そろそろ歩く時期だよ。歩くには、右足を出して、その次に左足を出して…かかとからこうやって…」と教えるでしょうか?まさか!ではどうやって赤ちゃんは歩けるようになるのでしょうか。赤ちゃんの中にいる「何か」に突き動かされ、衝動的にやり遂げてしまうのです。その「何か」こそが「自己教育力」(モンテッソーリ教育の専門用語では「ホルメ」や「ムネメ」などという)なのです。

この0-3歳の時期に必要なのが「人間になること」です。二足歩行をし、あいた両手を使って活動を行う、ものを移動させたり、形を変えたりして、環境に変化を及ぼしていくこと、それこそが「人間になること」なのです。そのため、毎日の人間社会における生活の基盤を身につける必要があります。

排泄、固形物を自分で食べる、着脱、寝る、ことに始まり、掃除をしたり、ものを磨いたり、食器を洗ったり、クッキングをしたり。人間になるためには「言語」も必要ですし、音楽や絵画などの「アート」も不可欠です。それらの要素がふんだんに盛り込まれた0-3のモンテッソーリ環境の中で活動し、子どもは人間としての「自分自身(BE myself)」になっていきます。

【3-6レベル】 Help me to DO myself

日常生活の中の様々なことを雑多に経験してきた3歳児は、自己教育力によりそれらの経験を「まとめていく」「秩序立てていく」段階に入っていきます。

3-6歳のモンテッソーリ環境には、経験を、論理的に整理して筋道立ていくため、5領域に分かれた「教具」が用意されています。なんとなく触っていた形に「名前」があることを知り、同類と異種のももの分類ができるようになり、言葉には「文字」があることを知り、これまで口からでた言葉は消えていっていたのに、文字で残ることを知ります。

なんとなく数えていたものが「進法」という法則に整理され、どうやら自分たちの住んでいるのは「地球」という宇宙にぷかんと浮かぶ惑星であることを知ります。フォトリーディングのように物事が無意識と意識下の両方でどんどん吸収され、この世界の素晴らしさに夢中になります。夢中になるからこそ、1000のビーズを(いち、に、さん、し…よんひゃくごじゅうご…せん!)と何日もかけて数えることが苦にならないのです!

そのような、自分の周りにある全てものごとを「自分ごと」にしていくために、自分で手と体を意図的に動かして活動すること(DO myself)が必要になります。だから、自分で荷物を用意したり、自分の荷物は自分でもったり、自分の足で歩いて目的地へ行ったりすることが必須なのです。

【6-12レベル】Help me to THINK myself

6歳以上になると「敏感期」や「吸収精神」はほとんど消えて無くなっています。そのため、何かをし始めたり、成すには、チャレンジする勇気と意思の力が必要となってきます。吸収精神の代わりにやってくるのが「理由付けの精神」です。6歳以上の子どもが持つ脳(精神)の働きで、いろいろな物事の関係性を知りたくなります。

6歳までに培った論理性や比較する力で容易に情報を得るようになり、どんどん学ぶ、どんどん覚える時期です。学習に最適な年齢ともいえます。スポンジのように学んでいくので、自由に選択したり探索するのを許されたり、環境を与えられたりすれば、物事の原因を深く深く探っていくことができます。抽象化も進むので、目の前にないものを想像したり語ったりすることが可能になります。

この時期もまた、自分の手と頭と足を使って、この世界の、自然の、あらゆる法則を自分の意思で探索し、発見し、考え、自分の言葉で説明できるようになれば(THINK myself)、最高の「学び」になるのは言うまでもありませんよね!

Ikumi Otani

結論!!

大人がモンテッソーリ哲学をもっていればいつからでも「本当の子どもの姿」を発見し子どもの命が望む発達を援助することができます。
子どもは何歳からスタートしても順応できます!ただし、年齢が高くなるにつれて意思の力と努力が必要となります。